概要
初期のものは「三昧」と呼ばれる木材や藁を燃料とした簡易な火葬炉があるだけ、あるいは集落の集会場と火葬炉といった素朴・単純なものでした。
近年建設された建物については、火葬炉と炉前ホールの他に、最後の別れをする告別室と、骨上げを行う収骨室が備えられていることが多いです。
一部の大規模な火葬場は通夜・葬儀が行えるように、式場と親族控室、遺体冷蔵用の霊安室を併設しており、売店や骨上げまでの待合室として喫茶室などが設けられている総合斎場もあります。
火葬炉の構造
火葬炉は、おおまかには「台車式」と「ロストル式」の2種類です。
台車式は、鉄などによって作られた台車の上に、五徳などを挟んで棺を置き、台車ごと火葬炉に入れて焼く方法です。
遺体は、開始直後は棺の下側からもバーナーの炎にさらされますが、棺が燃え尽きたあとは上面からしか炎が当たらなくなるため、時間がかかります。
しかしながら、骨はあまり落差のない台車上に落ちるためにばらばらに散乱することがなく、きれいに残るという特徴があります。
ロストル式は、炉内に渡した数本の鉄棒で作られた格子の上に棺を載せて焼くという方法です(「ロストル」は、調理器具などの「ロースター」と同じ意味)。
そのため、炎はずっと遺体の下にもまわり、速やかに火葬を行うことができます。
しかし、骨は格子から落差のある骨受け上に落ちるため、多くの場合位置関係はばらばらになります。
いずれも一長一短があり、火葬場の判断によって選択されています。
火葬後には骨が残され、骨上げでは、西日本は主要な骨のみを骨壺に収めるため、拾骨されなかったものは後に残されます。
東日本では基本的にすべての骨を収めるが、多少の残灰が残される場合があります。
骨壺に入れられなかった残骨灰は専門の業者が回収し、コバルト・ステンレス・チタンなど希少金属の選別などを経て合葬されます。
近年における火葬場の変遷
一時期は高い煙突が火葬場の象徴でしたが、技術的には燃料の石油化、ガス化や火葬炉排気の再燃焼処理の普及、社会的には火葬場がそばにあるということへの近隣住民の拒否感などにより、近年設置される火葬場においては、煙突が見られることはほとんどありません。
また1970年代後半から、再燃炉の開発により、臭気除去や無煙化が図られています。
燃料は長らく薪でしたが、A重油、白灯油、特に近年は都市ガス・LPガスが増加しつつあります。
過去には稀に電気という施設もありました。
火葬場の改築・移転には当該地域の住民による反対運動がおこりやすいです。
そこでいくつかの自治体が集まって広域行政組合を設立し、広域斎場を設けることで、そのリスクを低減することを図る傾向があります。
同様の事情から、住宅地から離れた場所に立地しようとするのが一般的ですが、日本の住宅事情を考慮すると、必ずしもそのような場所に作れるとは限りません。
そのため都市部のような場所においては、周辺を森で囲む・ぱっと見ただけでは火葬場とはわからない外観など、周辺地域に配慮した立地となっています。
霊柩車についても、宮型のものは自粛を要請したり禁止したりする場合があります。
また、名称も「~斎場」「~聖苑」などが多く、「~火葬場」とする施設は激減しています(もっとも、「××斎場」を名乗る火葬場でも、式場を併設する場合はこちらを「斎場棟」と呼ぶことが多いです)。
旧式の火葬場は、改装・移転にともなって、急速に姿を消しつつあります。
火葬から収骨まで
日本では、火葬後に骨上げを行い骨壷におさめるという流れになっているため、炉前で遺体を見送り、火葬後に拾骨するというところまでがセットになっています。
また、骨上げをする関係から骨をきれいに残すことが重視されるため、火葬技術者には独特の高度な技術が求められています。
火葬による環境破壊
近年、火葬による環境破壊の問題が急浮上するようになりました。
厚生労働省による研究費補助の対象となった調査で、棺を乗せるステンレス台が長く高温に晒されることにより、焼却灰中に六価クロムなどの有害な物質が発生することが明らかとなりました(読売新聞2009年1月19日報道)。
調査にあたった研究者は、有害物質を出さない材質のものに変えるなどの措置をとる必要があるとしています。
またこれとは別に、ダイオキシン発生を抑止する観点から、多くの火葬場において、副葬品の内容に制限を加えています。